2017年07月28日

映画「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」

 
あたかもデュオのごとく絶妙なハーモニーを

織りなす、主演俳優と監督のコンビネーション。

「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」

は、妻夫木聡と大根仁監督が”セッション”を重ねて紡ぎ

あげた、ユーモラスにしてほろ苦さを味わわせてくれる

一編だ。原作は、サブカル界では名の知れた人気コラムニスト/

まんが家の渋谷直角によるコミック。タイトル通り、奥田民生

のごとく”イイ感じに脱力系で余裕のある大人”標榜する主人公・

雑誌編集者のコーロキがファッションブランドの美人プレス・

雨海あかりに恋焦がれて翻弄されていくさまを、奥田民生を

の名曲群とシンクロさせながら描いている。この作品を読んだ

妻夫木は、反射的に映像化を熱望した。なぜなら、自身も民生

のファン----つまり、リアルに”奥田民生になりたいボーイ”

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だからだ。一方、かねてから渋谷氏の著作を愛読していた

大根監督も、”民生ボーイ”の連載が始まったとき、従来よりも

ストーリー性の高さに意識を置いて描いていることに気を留め

たという。だが代表作である「モテキ」(11)と共通する

要素が多い(主人公が編集者で女性に翻弄され、Jポップの

名曲群が作品を彩ってる)ことから、能動的に映像化を企画し

ようとは思わなかったようだ。しかしながら、ほかの誰よりも

面白く撮れるという自負があったそうで、監督を請け負う心構

えと準備は調えてあると、”民生ボーイ”の担当編集者に伝えて

いた”折良く、妻夫木サイドが映像化に向けてアクションを起こ

したことで、大根監督にも白羽の矢が立ち、原作をこよなく

愛する者たちによってプロジェクトが進められことになる。

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はたして、撮りあげられた映画は”民生リスペクト”にあふれつつ、

狂おうしいほど恋にのめり込んでしまう男たちの悲哀と、愚かさ

ゆえに愛しく思える面をあぶり出す一昨に仕上がった。理想とは

裏腹に、仕事でも恋でものたうちまわるコーロキの大人になりき

れない感じを、妻夫木がファニーにしてファジーなたたずまいで、

見事に体現。また、大根監督の絶妙な選曲センスによって要所

要所で鳴らされる奥田民生の味わい深きナンバーが、各シーン

を際立たせてる。「家族はつらいよ2」(17)の山田洋次的

コメディーとはまた違った妻夫木の妙味が、それこそ大根監督の

いい具合に力の抜けた演出によって引き出された本作。どうやら、

この上ない”カップリング”だつたと言えそうだ。

キネマ旬報8月上旬号記事からの抜粋です。

映画「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」

の公開は9月16日です。







posted by ドラ at 15:02| 東京 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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